春まけて 物悲しきに さ夜ふけて 羽ぶき鳴く鴫(しぎ) 誰が田にか住む
夜くだち 寝覚めて居れば 川瀬尋め 情もしのに 鳴く千鳥かも
春の野に 霞たなびき うら悲し この夕かげに 鶯鳴くも
わが宿の いささ郡竹 吹く風の 音のかそけき この夕べかも
うらうらに 照れる春日に ひばり上がり 情悲しも 独りし思へば
家持をうつ病と認定していいような気がします。
春の苑 紅にほふ 桃の花 下照る道に 出で立つ乙女
もののふの 八十娘女らが 汲みまがふ 寺井の上の かたかごの花
このあたりも、実に響きが宜しく絵が香る。
「かたかごの花」なんていう響きが好きだ。