ゲームの世界にのめり込みすぎたせいで、「朝起きる、着替えをする、入浴する、家族や友人と連絡を取るといった日常的な行為ができなくなった」として、ハワイ在住の男性がオンライン仮想世界『Lineage(リネージュ) II』の制作・運営会社を訴えている件に関して、米連邦裁判所の判事は8月4日(米国時間)、この男性の訴えを一部認め、裁判を却下せずに進行させる姿勢を示した(PDF)。
原告であるCraig Smallwood氏は、韓国のゲーム制作会社、NCsoft社を相手取り、中毒を引き起こす性質のゲームによって受けた損害の賠償を求めている(金額は明言されていない)。同氏は、2004年から2009年の間にLineage IIを2万時間プレイしたが、「このゲームに中毒すると知っていたら」遊び始めなかったと主張している。
現段階でSmallwood氏からのコメントは得られていないが、訴えには、被告のNCsoft社が、「原告をはじめとするLineage IIのプレイヤーたちに対して、その危険かつ欠陥のあるゲームの特徴について警告・指導を行なわず、また、ゲームの安全かつ適性な利用について適切に警告・指導することを怠った」とある。
Lineage IIは、韓国で一大ブームを巻き起こした『Lineage』の後継作として2003年にリリースされた、3Dの没入型MMORPG(多人数同時参加型オンラインRPG)だ。ユーザーは数年のうちに各国あわせて60万人に達し、リリースから6年が過ぎた今でも機能強化やアップデートが定期的に行なわれている――それゆえに、無防備なプレイヤーたちが、疲労で目をしょぼつかせながら家に引き籠もったままになってしまうケースも増えている。
[Lineage IIは米国や韓国のほか、日本、台湾、インドネシア、タイ、欧州、ロシア等で運営されている。日本での料金は月3000円。韓国では2003年11月から18歳未満はプレイできなくなったが、日本では年齢制限は設けられていない。
ロシアでは2007年2月、20代の学生集団と30代の集団がLineage II上の争いから現実に乱闘を行ない33歳の男性が死亡するという殺人事件が発生した(日本語版記事)]