見わたせば花も紅葉もなかりけり裏の苫屋の秋の夕暮れ

藤原定家和歌の見本としてよりも美意識の典型として学ばれる。 私にとっては人生の教訓そのものでもある。人生を振り返ってみれば何もないそれは戦慄するような寒々しさなのだがやはりなにもないしかしむしろそれでいいのだ寒々しさの中 … Read more 見わたせば花も紅葉もなかりけり裏の苫屋の秋の夕暮れ


春の夜の驚く夢はあともなし閨もる月に梅が香ぞする

光厳院 このような作を見ると、よく勉強した人ほど、あれこれの言葉やイメージに縛られて、大変なのだと納得できる。 春の夜の夢、花の香、春月、梅花、これらをコラージュのように利用している。 春の夜に夢を見て目が覚める月が射し … Read more 春の夜の驚く夢はあともなし閨もる月に梅が香ぞする


夜をこめて鳴くうぐいすの声きけばうれしく竹を植ゑてけるかな

藤原基俊鶯に梅は当然であるが、鶯に竹もなかなかお似合いである。 まだ夜が明けないうちに鳴く鶯その声が聞けるならとよろこんで竹を植えた さて、春の夜明け前、鳴いているのは鶯ばかりではなく、女もまたしかりである。鶯は女と見れ … Read more 夜をこめて鳴くうぐいすの声きけばうれしく竹を植ゑてけるかな


君ならで誰にか見せん梅の花いろをも香をも知る人ぞ知る

和歌が恋愛の大切なアイテムであった時代、花を歌うことは、花のように咲く女を讃えることであった。 女も自分を花として詠んだ。 あなた以外の誰にも見せません梅の花の色も香もそのよさを知っているのはあなただけ ということになる … Read more 君ならで誰にか見せん梅の花いろをも香をも知る人ぞ知る