風吹けど ところも去らぬ 白雲は 世をへて落つる 水にぞありける

風吹けど  ところも去らぬ  白雲は  世をへて落つる  水にぞありける
凡河内躬恒
風が吹いても場所を移動しない白雲は、昔から落ち続ける水であったのだ
比叡の山なる音羽の滝について詠んだ歌である
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そのまんまで読めばそのまんまで実に下らない話である
犬のしっぽは頭の反対についているなあ とか
それで職業歌人がつとまるものか
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当時、風に吹かれる白雲は、つれないこころ、定めない恋心、すぐに目移りする心のことであった。
それなのに、ここには、

風が吹いても、場所を変えない白雲があったのだ!

というワンダー×ワンダーが歌われている
無常でばかりでもないだろうという小さな発見である