「自分は普通より上だ」

たとえば学生時代の数学の点数で言えば
当然約半数が自分は平均以下だったと意識する
ところが物の考え方とか人生観とか趣味趣向については
全員が「自分は普通より上だ」と感じる
みんな違ってみんないいの世界で
完全に相対化されているかと思えばそうでもない
これは比較しなくていいもののだとは考えず
比較されないので
自分は普通より上だと考えたとしても否定されない
否定されないので
その信念を保持する
だから進歩がなくていつまでも思い続ける
誰にもどうしようもないので死ぬまで待つ
最近は寿命が延びているので
人生の早期に獲得した信念を訂正せずに保持している人も多くて
当然時代との齟齬・ズレは生じるはず
長生き社会の問題点はこんなところにもあるのだが
案外お年寄りの人は自分は平均より上だとは考えていないようで
多分個体の微妙な相違はあるのだろうが
全体として社会とのズレの方が大きくなっているので
個人の偏差の問題よりも集団としての中央値のズレの方が大きいのだろう
むしろ若い人が極端な自己愛肥大もありばらつきが大きくなっている感じはする
それぞれの所属準拠集団がかなり違っていることがある