未来を予期して不安に怯える
過去を想起して後悔に苦しむ
人間はそういうものだ
簡単に病気だとも言えない
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しかしながら原理的に考えてみると
未来を予期して不安に怯えたとして、その時は一度リハーサルをしたことになる
人間の脳は何度でもリハーサルができる
シミュレーションといえばもっとぴったりする
予行演習ができる、模擬試験ができる
そしてそのたびごとに細部は明らかになり具体的になり不安があったとしてもその程度と範囲が限定されてゆく
だから、頭の中で一度リハーサルをするごとに、不安は小さくなるはずなのである
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ところが不安症という病気の群の場合にはそうはならない
強迫性障害の場合には同じ強さで何度も繰り返す
パニック障害やSAD、GAD、PTSDの場合にはむしろ不安が増大することもある
これは私の理論で言えば神経細胞の特性として
外部刺激に対して増大する反応を示す群であり躁状態を作り出す細胞群と類似している
さらに
たとえば結婚式での記帳の不安をリハーサルしているうちに
不安そのものが不安のターゲットになる
字が震えたらどうしようではなく
不安になったらどうしようとなる
ここから先はどの不安がどの不安の原因になっているのか分からないほどの
不安の積層化が進行する
そのような人も街角で不意に記帳を求められるとスラスラと書けたりもする
通院しているクリニックで思いがけずに心理テストをしたりするとスラスラ書ける
だから書くことが問題ではない
書く場面を予期することが問題なのだ
予期することを何度も繰り返していれば
通常は不安が減少する
だからスポーツ選手は練習をするのである
しかしこの人達は練習すればするほど緊張してしまうのである
そんなことがあるだろうか
マニー細胞が関係していればそんなことも成立するはずである
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学校時代の成績の良かった人のかなりの部分はマニーであることが指摘されている
マニー成分を多く持つ人は不安症になりやすい
そう結論づけている
従って私の治療は不安症に対して、マニーを抑制する薬剤と社会リズム療法である
クロナゼパム、バルプロ酸、トピラマート、ラモトリギン、ガバペンチン、など。