価値観は異なるもの、相手思いやり夫婦円満

価値観は異なるもの、相手思いやり夫婦円満
KEYWORD夫婦|メンタルヘルス

長年一緒に暮らしているうちに、会話がない、お互いに無関心という夫婦も増えてくる。

意識しないままに、互いが嫌だと感じる言動をしていることも実は多いという。自分の行動がパートナーを思いやったものか常に意識しながら、コミュニケーションを取ることが大切だ。

兵庫県姫路市男女共同参画推進センターは先月、「熟年夫婦のための再出発セミナー」と題した計3回の連続講座を開いた。約30人が参加し、講師の「夫婦といえども違う価値観を持っている」といった話に耳を傾けた。

「子どもが巣立ち、夫婦二人きりなのに会話がない、口を開けば文句ばかりという夫婦も多い。夫婦のコミュニケーションについて見つめ直したいという人も増えています」と同センター。

電通とリクルートは昨年、シニア世代の夫婦関係について調査(50~64歳の男女1800人が回答)を行った。配偶者に対する感情を聞いたところ、「友情」が最多の42%だったが、続いて「無関心」が30%、「恋愛」は17%にとどまり、「嫌悪・不愉快」が11%もあった。50歳代前半は「恋愛」が多いが、60歳代になると「無関心」「嫌悪・不愉快」が増える傾向もあった。

家族問題などのカウンセリングを続け、「なぜか夫婦がうまくいく3つの習慣」(コスモトゥーワン)などの著書のある吉岡愛和さんは「パートナーについて『この人は、こんなもの』とあきらめがち。長年一緒だからといって、互いを十分理解しているわけではなく、関係がうまくいかない原因になっている」と指摘する。嫌だと感じる言動=別表=も、意外に知られていないという。自分の行動が相手を思いやったものか、常に意識することがコミュニケーションの第一歩。

「パートナーがしてくれてうれしかったこと」「パートナーの性格の良い点」などを書き出してみることも効果的。「あと1年しか生きられないなら夫婦で何をするか」「あと1日なら」などを書くのも、夫婦の老いと死を考え、相手を尊重することにつながる。「老いるほど支え合いが重要。それには日々の努力が必要です」と吉岡さん。

財団法人「シニアルネサンス財団」(東京)事務局長の河合和(やまと)さんは「会話がないのは、特に夫の側に情報、話題がないから。熟年夫婦は、地域の話題で会話が弾むことが多いようです」と話す。

地域の情報を得るのにお勧めなのが散歩。夫婦で歩いてもいいし、ひとりで歩いて気づいたことを話してもいい。新しい店を見つけたり、顔見知りができたりと、話題の情報源になる。地元の公民館などで開かれている文化講座やボランティアに参加するのもよい。

「男性は定年後も、家事や地域の活動で、自分の役割を見つけることが重要。程よい距離感を持つことが円満のカギです」と河合さんは話している。

◆妻が嫌だと感じること

・「いただきます」も言わず、料理に関心を示さない

・妻が重い荷物を持っても気づかない

・妻の話をうるさがる

・自分が悪かったと謝らない

・帰りが遅くても電話がない

・仕事のストレスを家に持ち込む

・よその妻と比較する

・家事を全く手伝わない

・家でだらだらしていることが多い

・自分の部屋に閉じこもってパソコンばかりしている

・妻の誕生日を忘れている

◆夫が嫌だと感じること

・夫に命令する

・帰宅するや否や不満をぶつけられる

・よその夫と比較する

・夫の知らないところで大切なことを決める

・仕事の苦労を知らなすぎる

・給料が少ないと不満を言う

・身だしなみをきちんとしていない

・子どもの前で夫の悪口

・家の中が汚い

・優先順位が子どもの次

・家の中に決まった席がない

(記事提供:読売新聞)