呪文・呪術

呪文・呪術の発生にはきっと強迫性障害と強迫性性格が関係していると思うし、
さらには妄想性障害の一部が関係していると思う。
原因と結果の考察において、
因果的理解ではなく、時間関係からの理解をしたとすれば、
それが偶然だったのかどうかがあいまいになる。
敢えてあいまいにしたままで、そこに関係を見ようとする心性が、
呪術である。
また、あいまいなままの統計的解釈と言ってもいい。

遠く中国では道教がその役目であったし、
日本に輸入されて、陰陽師が活躍、
その後は密教系の呪術も取り入れられる。

偶然の時間的連関を真性の因果関係と信じれば、
たとえば、桜の木で焚き火をしたら雨が降ったと信じるようになる。
妄想性障害者が一人いれば成立する。

また、強く念ずれば実現すると考える人もいる。
強く念じることの裏付けてとして、
修行などの「無理なこと」を行動し、そのことと「引き替え」に、
想念の現実化を願う方式もある。
反復行動の原型は強迫性障害にあるから、
呪術と強迫性障害は親和性を持つ。

魔法使いサリーでも、
呪文は「テクマクマヤコン」で、大抵それで、
想念は現実化する。

縁起を担ぐとか、そんな人は数多くいるだろう。
真性の因果関係として信じているわけではない。
ただそうしないとすっきりしない。
それぞれの程度において、
強迫性障害的であり、
妄想性障害的なのである。
だから、強迫性障害も妄想性障害もなんら特殊ではない。
普遍的に存在する、人間にとってありふれた状態である。